売却が難しいマンションとはどんなマンションなのか?

いざマンションを売るとなった場合、売手の立場から言えば出来るだけ高い価格で販売したいと思うでしょう。マンションの価格は売り手と買い手のバランスで成り立っています。買い手がたくさんいるようなマンション、つまり人気のあるマンションであれば売却も予定していた価格で売れる可能性も高いはず。ですが、実際、なかなか売れないで困っているマンションもたくさんあります。では、売却するのが難しいマンションとはどういったマンションなのでしょうか?ここでは、なかなか売れないマンションの特徴を説明していきます。

1.価格が高いマンション

まず、当たり前の事ですが価格の高いマンションは売却するのが難しくなります。買い手が一番に見るのが価格だからです。マンションをはじめ不動産の価格には地域ごとに相場があります。ですから、その相場から大きく外れたマンションは買い手が見つからず売るのが難しくなるでしょう。相場より高い価格で売り出した場合、売れなければ価格を下げていくケースが多くなります。

 

ただ、住宅ローンがまだ残っている物件などの場合、残債との関係で価格を下げられないというケースもあります。売却して住宅ローンがチャラになるなら良いですが、売却してもローンが残る場合、もう住んでもいないし、自分の家でもないマンションにローンを支払い続けるということになってしまいます。こうなると売りたいけど売れないということになるでしょう。

こうしたケース以外にマンション自体に何らかの問題があるため、売却が難しいというケースもあります。以下、そうしたケースを順次、説明していきます。

2.再建築不可のマンション

再建築不可とは?

現在、建っているマンションの中には再建築不可のマンションというものもあります。これは文字通り、現在ある物件を更地にした後に、別の物件を建てることができないというものです。再建築不可なんて聞くと余程、地盤が緩いとか、地震や土砂災害、高波や水害の危険性があるのではないかと思うかもしれませんが、そういうわけではありません。

 

では、なぜ、再建築に規制が掛けられるのかと言えば、多くの場合、建築基準法に定められている接道義務というのに抵触するからです。これは敷地が道路に2メートル以上、接していないといけないという規定です。この道路はどんな大きさでも良いということではなく、4メートル以上の幅の道路となっています。つまり、4メートル以上の道路に接している部分が2メートル以下の場合は原則、再建築不可ということになります。

 

どんな場合、この規定に抵触するかと言えば、古くからある住宅密集地などが該当するケースが多くなります。しかし、これにはただし書きの規定があり、一定の条件を満たせば2メートル以下でも再建築が認められています。例えば、周囲に広場などがある場合です。逆に2メートル以上道路に接していても、安全面で問題がある場所では再建築不可となっているケースもあるので注意しましょう。

再建築不可の物件は売却できないの?

再建築不可の物件であっても売却ができないというわけではありません。ですが、こうした物件の場合、一部の金融機関を除けば、住宅ローンを借りられないという問題があります。つまり、買い手の立場から言えば、住宅ローンが使えないので、現金で購入するしかないわけです。そうなると当然、購入できる層が少なくなりますから、買い手が少なくなり売却が難しくなります。

 

また、災害などで住めなくなってしまったときには、再建築ができないわけですから、買い手側にはかなりリスクがあります。そのため、再建築不可の物件は同じ規模の物件と比較するとかなり安くで販売されます。
現金買いやリスクがある反面、ある意味、お得な物件になっていることもあります。また、資産価値が低くなるために固定資産税が安いというのもメリットと言えるかもしれません。

3.所有権以外のマンション

通常、マンションを所有しているという場合、不動産投資家のように一棟丸ごと所有しているケースもあるでしょうし、一室を所有する区分所有という形で所有している場合もあるでしょう。いずれにしても、マンションを所有している場合、一棟物であれば、土地と建物に対して共に所有権を持っている場合が一般的です。

 

では、区分所有の場合はどうなるかというと、建物部分は所有権もわかりやすいですが、土地に対しては共有という形になります。近年、建物の所有部分と敷地権という形で所有しているマンションの土地に対する権利がセットで売買されることがよく見られます。

 

この敷地権は通常、所有という形になるのが一般的ですが、時に所有ではなく、借地権となっているケースがあります。つまり、建物部分はそれぞれ所有者がいるわけですが、土地は別に地主がいて、地主から土地を借りて建物を建てている形になっているわけです。そうすると土地を購入する費用がいらない分、物件の価格が安くなります。その代わり借地料を支払う必要があり、ランニングコストが発生することになります。

 

こうした所有権ではなく借地権になっているとマンションを売却する際、ネックになる可能性があります。つまり、買い手側が敬遠することもあり、売却が難しくなるということです。しかし、これも売却が無理というわけではなく、価格等でメリットがあれば、気にせずに購入する買い手もいます。ですが、一応借地権である場合は売却の際、問題が生じる可能性は考慮しておきましょう。

4.リノベーションに対する制約が多いマンション

部屋のリフォームやリノベーションをしたいと考える方もたくさんいます。しかし、マンションの場合、戸建て住宅と比べるとどうしても成約が多くなってしまいます。特に、水回りのリノベーションなどに関してはなかなか思ったようにできないというケースが多く見られます。集合住宅ですから、ある程度の制約は、仕方がないと言えます。しかし、あまりにも管理規約上の制約が多いというのは考えもの。マンションを売却する際、こうした制約の多いマンションは買い手から嫌われることもあります。マンション購入後、自分の思い通りにリノベーションしたいという買い手の場合には、管理規約が原因で購入がキャンセルされるということも珍しくないのです。

 

もちろん、こうしたリノベーションなどは考えていないという買い手の方にとっては管理規約の規制の多さはそれほどマイナスにはなりません。ですが、買い手によってはマイナス要因になる可能性は考慮しておきましょう。

5.旧耐震のマンション

昔から地震大国として知られている日本ですが、近年でも神戸淡路大震災や東日本大震災などにより多くの死傷者が出たことは記憶に新しいところです。こうした地震に対して建物が耐えることができるかどうかを示すのが耐震基準です。これは建物に関する最低限の基準だと思っておくと良いでしょう。この耐震基準は時代と共に改正されたりしていますが、大きく分けると旧耐震基準新耐震基準に分けられます。

 

旧耐震基準と言うのは戦後の1950年に施行された建築基準法により定められたものです。具体的には同法施行令で詳細が規定されています。この建築基準法施行令が1981年に大きく改正されたのですが、これが新耐震基準と呼ばれているものです。もちろん、新耐震基準のほうがより建物に対する強度を求められるようになっています。旧耐震基準では震度で言うと5程度でも耐えることが可能なようにと考えられていたのに対し、新耐震基準では震度6強でも倒れないようにと考えられた基準となっています。

 

さて、こうした二つの基準の差が現れたのが阪神淡路大震災です。この時、新耐震基準の建物が数パーセントの被害で済んだのに対し、旧耐震基準の建物は3割近い建物が大きな被害を受けました。このことが広く知られるようになり、旧耐震基準のマンションは危ないということが言われるようになりました。

 

2016年の時点で新耐震基準が定められてから35年の月日が流れています。実際、これより前の古いマンションを売却する場合、旧耐震の物件ということになり、避けられる傾向もあります。特に最近の地震の活発化や火山の変動などにより、地震を心配する人が増えています。今後、起こると予想されている東海地震や首都圏直下型の地震、それに南海トラフ地震等も現実味を持って考えられる段階であることから、旧耐震物件に対する見方は厳しくなっています

 

そうした事情から旧耐震のマンション売却に関してはマイナスポイントがあるということは自覚しておきましょう。もちろん、地震をあまり気にしない人や地震の心配があまりないエリアもあるので、一概には売却が困難とは言えませんが、意識はしておくべきポイントであることは確かです。

6.管理が良くないマンション

マンションには管理がしっかりと出来ているところもあれば、出来ていないところもあります。その点は外観である程度、わかることが多いものです。例えば、共用部分が薄汚れていて汚かったりすると要注意。また破損個所がそのままになっていたりするのも危険信号です。こうしたマンションの場合、売りに出しても内見の際、どうしても印象が悪くなるため、売却が難しくなります。管理の悪いマンションは買いたくないというのは誰もが思うことですから、仕方がないでしょう。

 

また、そうした目に見える部分以外にも、修繕積立金が不足していたりするマンションもあったりします。修繕積立金が足りなければ、その後の管理に支障をきたします。こうしたマンションも買い手は二の足を踏みます。

 

管理があまり良くないと思われるマンションはこのように売却が難しくなることもあるので注意したいものです。しかし、価格が安いなどメリットがあれば、買い手が付く可能性もあります。

7.事故・事件が起きたマンション

予期せぬ事故が起きる可能性というのは常にありますが、これは自分の所有しているマンションに関しても言えます。例えば、同じマンションで火災や自殺などが起きたり、場合によっては殺人事件などが起きることもあるでしょう。突然、住人の誰かがそうした事件に巻き込まれると、そのマンションは殺人事件の現場ということで、多くの方の記憶にとどめられてしまいます。あるいは、その事件の舞台が自分の所有している部屋ということもあり得ます。こうした事件が起きた場合どうなるかというとそのマンションの価値が下がることも覚悟しなければいけません。

 

自分の責任ではなくても、そうした事件等によって、マンションの価値が下落するリスクというのは常にあるのです。もちろんそれは事件が起きたマンションは買い手が敬遠するからです。もし、そうした事態が生じた場合、売却が難しくなると思ったほうが良いでしょう。「買い手に黙って売ってしまえば…」と思う方もいるかもしれませんが、そういうわけにはいきません。買い手にきちんと告知して納得してもらう必要があります。

まとめ

以上、マンションを売却する際の障害となるいくつかの事項について記載してきました。これらの代表的な事項以外にも売却が難しくなる事項は他にもあるでしょう。これらの要因により通常の仲介が困難になる事態はあり得ますが、それは売却が不可能になるというわけではもちろんありません。マンションを売る方法としては仲介以外に買取業者による買取などの方法もあります。ですから、そうした買取業者に相談してみるのも一つの手です。

 

実際に売却をするときには、自分のマンションに上記のような売却を困難にする要因が無いかをチェックしてみて、該当する項目がある場合には、それを踏まえた上で売り出し価格を決める必要があります。価格が高いというだけで、購入対象から外れてしまうことはよくあるので、価格設定は慎重に行いたいものです。

 

売り手側は1円でも高く売りたいと考えるでしょうが、不動産の価格は需要と供給の関係で成り立つもの。つまり、買い手がいて初めて取引が成立するわけですから、売り手側は自分の立場だけではなく、買い手の立場からも考えてみると良いでしょう。
また、売却が難しいケースでも上手く売った人もたくさんいますし、そうしたノウハウを知っている不動産業者もいます。もし、売却が上手くいかないのであれば、そうした方法についても学んでいく価値はあると言えます。

 

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