不動産売却の最終手段?競売とは何か

投資用、居住用など様々な目的でマンションなどの不動産を手に入れたいと思うことがあるでしょう。通常は不動産会社を通じて購入するケースが一般的ですが、それ以外に最近、人気になっている競売という方法があります。しかし、競売にはメリットがある反面、デメリットもまた存在しています。ここでは競売の魅力と共に、そのメリットやデメリットについて説明していきたいと思います。

競売とはなに?いくつかの競売方法

競売は「けいばい」あるいは「きょうばい」と呼ばれますが、不動産業者などの関係者は一般に「けいばい」と呼んでいます。競売と言うのはお金を貸した側(債権者)がその借金を回収するために、お金を借りた側(債務者)やその保証人が所有している不動産を強制的に売らせる手続きと考えたら良いと思います。これを強制競売とも呼びます。お金を貸した側が裁判所に申し立てることで行われますので、法律に基づいたまったくの合法的な処置です。この場合、お金を借りた側が競売に掛けないでほしいと思っても、その意思は反映されません。お金を借りている側から見ると、まさに「強制」なのです。

 

「競売」は競って売ると書きますが、定価が決まっているのではなく、いくらで買うか参加者が自ら値段を付けます。ですから、他のライバルよりも安い価格だと競り落とすことはできませんし、逆に高い価格を付けると高値で物件を買ってしまう可能性があります。いくらで入札するかというのは競売の醍醐味でもあり、難しい点でもあります。逆にそこに魅力を感じて参加している人もいるようです。このように競売は競りやオークションの不動産版と考えたらわかりやすいでしょう。

 

この強制競売の他に担保不動産競売と呼ばれているものもあります。これはお金を貸した側(債権者)が抵当権などの設定を受けている担保権者である場合に行われるものです。つまりお金を貸した人などに対して不動産などの担保を取っているケースにおいて、支払いが滞った場合に、それを裁判所に申し立てて競売に掛けるというものです。

 

よくあるケースがマイホームの住宅ローン。毎月のローンの返済が何らかの理由で払えなくなった場合、マイホームの住宅ローンには抵当権が設定されているのが普通なので、担保権者である金融機関が売却するために競売に掛けるのです。住宅ローンの返済は結構厳しいもので、返済が遅れるとそれほどゆっくりとは待ってくれません。早く対処しないと競売に掛けられてしまうので注意しましょう。抵当権が設定されているということは、払えなければ競売に掛けられるのが前提ということになるのです。

競売のメリットは?

競売に参加する側から見た場合、競売物件にはどんな魅力があるのでしょうか?これは、一言で言えば「安さ」です。この安さが最大の魅力であり、メリットであると言っても過言ではありません。競売物件は不動産評価の面でも安く評価されて売り出されるので、その周辺の平均的な売買価格よりかなり割安で購入できる可能性が高いと言えます。もちろん、必ずしも安く買えるというわけではなく、物件の人気度合いや競売参加者の動向によって変わってきます。ですから、思わぬ安値で手に入るということもあれば、逆に競売の最終的な金額が周辺エリアの平均的な売買価格と変わらないというケースも多々見られることです。競売は終わってみなければ、物件を買えるかどうか、安くで買えたかどうかはわからないということになります。上手くいくと、不動産業者や不動産投資家などはかなりお得に物件を手に入れることができるということで、人気があるわけです。

競売のデメリット(物件取得まで)

このように競売にはメリットがある反面、デメリットも多く存在しています。このデメリットを理解し、納得した上で参加するようにしましょう。ここでは、物件取得までのデメリットについて説明します。

 

まず上げられるのが競売と言うシステムに伴う問題です。それは入札しても買えるかどうかわからないという点。いろいろ調べて入札しても買えなければ、それらはすべて時間のムダということになります。また、買えるとしても競売物件は住宅ローンが組めないケースがほとんど。つまり、キャッシュで購入しないといけません。通常の物件であれば金融機関から融資を受ける形をとりますが、それが難しいのです。資金が無ければ競売に参加すること自体無理だということになります。

 

それから、購入するまで家の内部を見ることができないという点も大きなデメリットとしてあげられます。競売に入札する場合は物件を見学したと言っても、内部をしっかりと見たわけではなく、あくまで外から見て判断しただけということになります。家は外から見ただけではわからないもの。一見、良さそうに見える物件でも実は中はかなり傷んでいるというケースも多いのです。簡単な修理で直るものなら良いですが、重大な欠陥があることも考えられます。思わぬリフォーム代金が必要になることもあるでしょう。競売物件に手を出すということは、そうしたリスクを承知したうえで参加するということになることを知っておく必要があります。

競売のデメリット(物件取得後)

物件取得後に出てくる競売のデメリットは占有者の問題です。よくあるパターンがローンや借金を返済できずに家を競売に掛けられた本人がその家に居住しているというパターンです。こうした占有者を追い出した後に物件を引き渡されるわけではなく、占有者がいる状態のままで購入するということになります。ですから、占有者に対する対策は購入した人自身が行わないといけません。占有者がいる物件の場合、立ち退き料も経費として見込んでおく必要があります。それに借金が払えなくて競売に掛けられるわけですから、占有者自身もお金はスッカラカンというケースが多いのは当然。もう引越しする余力すらないこともあるのです。だから、競売物件を購入した人が引越資金を出してあげたり、中には引っ越し先のアパートの敷金を出してあげた…なんてケースもあったりするのです。ちょっとクセのある占有者の場合、引越し交渉が難航し、その対応は本当に大変。占有者対策で疲労困憊するということも珍しくないのです。また、裁判所に強制執行を頼んだ場合、その費用も必要です。

 

それ以外にマンションなどの物件の場合、注意しないといけないのが管理費の問題。競売に掛けられている場合はマンションの管理費を滞納していることが多いのです。その滞納している管理費なども購入した人が支払う必要があります。自分が滞納したわけでもないのに何だか理不尽な感じがしますが、そういう決まりですので仕方がありません。また購入した物件の中に住んでいた人が残していった家具などの家財道具が残っていることもあります。こうしたものも物件を活用する前に処分しないといけません。処分費が必要なこともあるので、それも見込んでおきましょう。ただ、これも黙って処分するわけにはいきません。このように競売物件は占有者との関係でいろいろと余分な費用や手間がかかることがあります。入札する前にはどんな占有者がいるのか、把握しておくことも必要でしょう。

競売専門の業者がいる

競売はそれを専門的に扱っている業者が存在しています。その一つが競売物件を転売する業者です。競売に要した費用と売却した額との差額を収益源としています。しかし、最近では業者以外の一般の人たちも競売に参加することが多くなり、以前のように競売の専門業者が安く落札することが難しくなっています。つまり、ビジネスとしての旨みが無くなってきていると言えるのです。それ以外に競売物件に入札したいと思っている人のために代理で入札する業者もいます。これらの業者は入札代行業と言っても良いでしょう。

買取業者は競売から物件を仕入れる

不動産の買取をしてくれる業者が存在していますが、そうした買取業者は買い取った物件を売却することで利益を上げています。一般の不動産所有者が物件を売却する場合、不動産業者に仲介してもらう方法以外に、直接、買取業者に買ってもらうという方法もあります。買取業者の仕入れ先としては、こうした一般の不動産所有者から直接買い取る方法以外に、競売から物件を仕入れるという方法もあります。競売物件の場合、通常よりも安い価格で購入できるケースも多いことから、買取業者にとっては仕入れ先の一つとして重視されていることもあります。

個人でも競売物件に手を出す人が増えてきた

以前は競売物件といえば、不動産業者など業界の関係者が扱うことがほとんどでした。ですが、最近では一般の個人でも競売物件に手を出す人が出てきています。例えば、個人の不動産投資家が良い例です。不動産投資に関しては書籍やセミナーなどがたくさんあることからわかるように、実際に投資をしている人、やってみたいと考えている人が増えています。不動産投資ブームと呼ばれるような現象がありますが、不動産投資で利益を上げていくためには割安な物件を手に入れることが重要な要件になります。

 

そうした中で、競売はまさに割安な物件を手に入れるための一つの方法と言えます。かつては業界関係以外の人にとってはよくわからないものと思われていましたが、インターネットの普及で個人が競売に参加できる方法なども理解しやすくなったことも、個人の参入者が増えた原因と言えます。物件情報に関しても競売物件を専門的に扱っているサイトもあるので、ネット環境さえ整っていれば簡単に物件情報を見ることができます。

買取業者も昔ほど競売物件から良い物件を仕入れるのが難しくなっている

格安で不動産が手に入る方法として、知る人ぞ知る方法が競売だったと言えます。しかし、最近、競売で良い物件を手に入れるのが難しくなっていると言われています。つまり、世間の不動産相場と比べて、格安で物件を手に入れることができなくなってきているということです。いわゆる「オイシイ物件」が無いということですね。

 

こうした状況になってしまった原因の一つが業者の増加です。安くで物件が手に入るという情報が業界に広くいきわたり、参入してくる業者が増加。物件を手に入れるための価格が上昇してしまい、旨みが無くなっているということです。

 

また、インターネットの普及などが原因となり、各社の情報が横並びになっていることから、「自分だけがわかる掘り出し物」が見つけにくくなっているのも原因に上げられます。

 

それ以外に、最近の傾向として指摘できるのが個人の参入です。競売というものを知り、個人でも参加できることがわかり、やってみようと参入する人が出てきているのです。競売は基本的には誰でも参加できるものです。ただ、債務がある人や、以前、競売で物件を競り落としたにもかかわらず代金を払わなかった人などは参加できないなど、一定の参加資格はあります。いずれにしても個人レベルの人から、競売を業者並に狙うセミプロ的な不動産投資家まで、いろんなレベルの個人が競売の世界に入ってきています。

個人で安易に競売物件に手を出すのはおすすめしない

さて、以上述べてきたようにネット社会による情報の公開という影響もあり、個人が競売物件に手を出すケースが増えています。しかし、逆に競売物件には買取業者などのプロや個人投資家など様々な人が参入することで、割安な物件を手に入れにくいという状況となっています。競売物件のメリットは安いという点にあるわけですが、不動産業者を通じて売り出されているものと大差ない価格になってしまっているものもあります。このように、かつてほどはメリットがなくなっているのが現状のようです。

 

また、不動産屋が紹介している通常の売り物件とは違って、競売物件は中が見れないなどいろいろと問題があります。競売で落とした物件が不良物件であったというリスクもあるわけです。また、占拠者の問題などもあり、素人投資家だと対応に苦慮することになるでしょう。競売物件で利益を上げたという不動産投資家の話を真に受けて、素人の個人が安易に手を出すと痛い目に遭うこともあります。ですから、安易に競売物件に手を出すことはおすすめできません。今一度、競売のデメリットについて深く理解するようにしましょう。

 

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