マンションを売却する時に必要な書類

マンションや一戸建て、土地などの不動産売買は、普通、人生の中で何度も経験するものではない大きな買い物・売り物です。購入するときには自分が一体いくら支払わなければいけないのか、住宅ローンはどこの金融機関を選べばよいのか気になりますし、売却するときにはできるだけ高い値段で売りたいと思うでしょう。また、売買に必要なのはお金のやり取りだけではありません。山ほどあって名前も覚えきれないような書類の数々。普段目にすることのないような書面は、用意するだけでも大変です。ここでは、マンションを売却する時に必要な書類を確認していきましょう。

 

目次
1.不動産会社が用意するもの
1-1登記簿謄本
1-2マンションの規約
1-3建物図面
1-4地積測量図
1-5マンションの管理規約等
1-6評価額証明書
2.売主自身が用意しなければいけないもの
2-1登記済権利証または登記識別情報
2-2身分証明書
2-3実印
2-4印鑑証明書
2-5住民票(3ヶ月以内発行のもの)
2-6銀行口座の通帳
2-7購入時の売買契約書
2-8購入時の重要事項説明書
2-9固定資産税納税通知書
3.必要に応じて用意するべきもの
3-1図面や設備の仕様書など
3-2住宅性能評価書
3-3パンフレット
3-4耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等
3-5建築確認通知書
3-6建築協定書等
3-7ローン残高証明書
4.「何に関する書類なのか」を知れば準備がスムーズ
5.売主に関する書類が必要なワケ
6.権利に関する書類はマンション売買に必須
7.建物に関する書類は買い手へのアピールに

「誰が何を用意するのか」で自分が準備する書類を把握しよう

登記簿や実印、売買契約書、耐震診断報告書など、耳にしたことがあるものもあれば、まったく聞いたことが無いような名前のものも散見される、マンション売却に必要な書類の数々。いざマンションを売却しようというときに、どれを、いつ、どれだけ用意したらいいのかって、一般の方なら知る由もないのが当然です。でも、せめてどの書類を誰が用意するのかを知っておけば、いざというとき自分が何をすればいいか、心の準備ができますよね。「誰が何を用意するのか」という視点で分類する場合、マンションを売却するのに必要な書類は「不動産会社が用意するもの」、「売主自身で用意しなければいけないもの」、「必要に応じて用意するべきもの」の3つに大別されます。

1.不動産会社が用意するもの

「誰が何を用意するのか」の3つの分類中、まず不動産会社が用意する書類を1つずつ見ていきましょう。中には法務局へ行けば自分自身で取得できるものもありますが、以下に挙げる書類は基本的に不動産会社にお任せすることができるので、自身で法務局を訪れる時間がない場合でも心配は無用です。

1-1登記簿謄本

登記簿謄本は不動産に関する情報が記載されている書面で、法務局へ行けば誰でも取得することができますが、不動産会社を介してマンションを売却する場合は代理で取得してもらうことができます。「登記事項証明書」とも呼ばれます。

1-2マンションの規約

マンションにはそれぞれにペットの飼育やその他入居の規則があります。こうした規則が記載された書面は、マンションの購入者がスムーズに入居するために不可欠なもの。通常は売買契約をする前に提示します。

1-3建物図面

マンションの購入を検討している人にとって、間取りは重要なポイントですよね。そうした間取りや室内の設備の仕様など、物件の「売り」になるものを記載した建物図面や設備仕様書も売却の際には必須の書類となります。

1-4地積測量図

物件の登記を申請する際に添付する地積測量図というのは、例えば一戸建てや土地の売買をする際に境界線や面積を明らかにするための測量図と同じ意味合いの書面。売却するマンションの1室が持つ専有面積を示します。登記簿謄本と同じく法務局で取得できますが、これも不動産会社にお任せすることができます。

1-5マンションの管理規約等

マンションが一戸建てと違うのは、購入後に管理費や修繕積立金、場合によっては管理組合費や町内会費が発生します。こうしたマンションの維持費について明示された書類は、マンションの購入を検討している人にとってマンション自体の価格とは別に月々のランニングコストを知る上で重要なもの。また、マンションがどのように管理されているのかを記載した管理規約も必要です。

1-6評価額証明書

土地や建物、マンションを所有していると、固定資産税というものを支払わなければいけませんよね。その納税額は、マンションの評価額に応じて決定されます。そのため、マンションの売却時には固定資産税評価額証明書が必要。ちなみに、固定資産税は1月1日時点でマンションを所有している人に1年間分が課されることになっていますが、売却後は負担額が調整されて払い戻しを受けることができます。

2.売主自身が用意しなければいけないもの

次に、売主自身が用意しなければいけない書類です。ここで注意が必要なのは、下記1〜6までの書類は「これがないと契約が進まない」という重要なもの。7〜9は、「できれば用意したいが、なくても契約は可能」というもの。1〜6は必ず用意しなければならない書類なので、しっかりチェックしてくださいね。

2-1登記済権利証または登記識別情報

マンション売却においては何よりも重要となるのが登記済権利証、いわゆる「権利書」です。登記簿に記載されている名義人が本当にその物件の所有者なのかどうかを証明する登記済権利証を買主に渡し、登記が移転することによってようやくマンションの所有権が売主から買主に移ることになります。なお、平成17年以降に取得したマンションである場合には、登記識別情報が発行されていることもあります。これは、マンションを購入したときに法務局から渡されて手元にあるハズの書類です。

2-2身分証明書

売却するマンションの名義が一人ではなく、他の家族や親族などと共有になっている場合、全員の身分証明書を提示する必要があります。

2-3実印

マンションを売却しようとする本人の実印が必要です。もし、名義が単独ではなく、共有という形になっているなら、名義人全員分の実印が必要になります。

2-4印鑑証明書

これは実印の印鑑登録を行っている市区町村の窓口で発行してもらいましょう。マンション売却の書類として使用できるのは3ヶ月以内に発行されたものに限られます。こちらも共有の名義になっているときには、全員のものが必要です。

2-5住民票(3ヶ月以内発行のもの)

売却対象となるマンションの住所と異なっている場合に用意します。こちらも印鑑証明書と同じく、3ヶ月以内に発行されたものでないと使用できないので注意しましょう。

2-6銀行口座の通帳

マンションを売却したのちに代金を振り込んでもらうための銀行口座を提示する必要があります。

2-7購入時の売買契約書

売却予定のマンションを購入した際に、売買契約書を締結しましたよね?これは売却時に必要になります。特約がないか、物件の状況がどんなものかというのがこの書類に書かれています。

2-8購入時の重要事項説明書

売却予定のマンションについて告知事項がないかを確認できる書類が重要事項証明書です。通常、マンション購入時に登記済権利証等と一緒に保管していると思います。

2-9固定資産税納税通知書

例年6月前後に市区町村役場などから送られてきます。

3.必要に応じて用意するべきもの

最後にご紹介するのは、「必要に応じて用意するべき」書類。不要であると言われれば用意する必要はありませんが、「これは用意してくださいね」と言われたものがあれば、忘れずに準備をするようにしましょう。

3-1図面や設備の仕様書など

マンション売却時には、購入を検討している人に対してマンションの良い点をアピールすることが必要です。例えば、システムキッチン、床暖房、ウォークインクローゼットなど人気の設備が備わっている場合には、仕様書を用意することで買い手によい印象を与えることができます。

3-2住宅性能評価書

マンションの住宅性能を示す住宅性能評価書などを保有している場合には提示します。

3-3パンフレット

マンション購入時に入手したパンフレットや広告資料があれば提示しましょう。

3-4耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等

マンションの購入を検討している人にとって、マンションがどの程度耐震性能を備えているかというのは関心の高い項目です。耐震診断を行っていたり、アスベストの使用調査を受けている場合には、耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書等を提示する必要があります。

3-5建築確認通知書

売却しようとする不動産が法律で定める建築基準をクリアしているかどうかを確認するための書類です。通常、マンションの場合には必要とされません。

3-6建築協定書等

マンションを建築する際、なんらかの協定があった場合には売却時に建築協定書が必要となります。

3-7ローン残高証明書

マンションを購入した際に住宅ローンを利用し、返済が終わらないうちに売却する場合には、それまでの返済額と残りの債務がわかるようローン残高証明書が必要になります。

以上、「誰が何を用意するのか」という観点からマンションの売却に必要な書類を分類しました。上記のうち、マンションを売却しようとする本人が用意しなければいけない書類については理解いただけましたでしょうか。ここに提示したものは、いざ売却する人以外はすべての書類について「どれを、なんのために用意するのか」を完全に理解する必要はありませんが、ぼんやりとどんな書類が必要なのか覚えておかれると便利です。

4.「何に関する書類なのか」を知れば準備がスムーズ

上では「誰が何を用意するのか」という観点で書類を分類しましたが、もう1つ、「何に関する書類なのか」という観点で「売主に関する書類、権利に関する書類、建物に関する書類」の3つに分けて考えると書類の内容が理解しやすくなります。特に、マンションの売主自らが用意しなければいけない書類についてだけでも「何に関する書類なのか」を抑えておくと、準備がスムーズに進むでしょう。

5.売主に関する書類が必要なワケ

新築マンションと違い、中古マンションを購入する際には現在そのお部屋を所有している個人から所有権を移転してもらうことになります。マンションは、中古とはいえ数百万から数千万、場合によっては億のお金が動く大きな売買商品ですので、どうせ買うなら身元のはっきりしている人から買いたいと、買い手側からすると思うわけです。身分証明書や印鑑登録書など、本人に関する書類が必要となるのはそのためです。また、売主に関する書類は、売却するマンションの正当な所有者であるかどうかを確認するためにも必至となります。前述のとおり、上に記載した売主に関する書類が揃わない限り契約を締結することすらできませんので、用意の段階で取得し忘れているものがないかどうかをしっかりチェックしておきましょう。

6.権利に関する書類はマンション売買に必須

次に、権利に関する書類。「売主が用意しなければならない書類」、登記済権利証または登記識別情報についての項で説明したとおり、現在売主が登記の名義人であるものを買主に移転させることでマンションの所有権が移ります。そうした「マンションの所有権は誰にあるのか」を明示する書類は、売買契約に必須。これが欠けていると所有権の移転ができず、マンションの持ち主が売主から買主に「移った」ことの証明ができません。また、マンションを所有している間は、この書類は「あなたがマンションの所有者である」ことを示す重要なもの。失くしたりしないよう、大切に保管しておきましょう。

7.建物に関する書類は買い手へのアピールに

洋服や食品を売るのと同じで、マンションを売却しようと思ったら、購入を検討している人たちにそのマンションの「いいところ」や「注目して欲しい」ところをアピールする必要がありますよね。また、設備や立地、管理などのサービス面と比して購入価格はどうか、その後維持していくにあたってのランニングコストはどうかなども、消費者は気になるところです。建物に関する書類は、こうした買い手へのアピールをするために重要です。例えば、図面や設備の仕様書は、マンションを探す際間取りや部屋に備え付けられた設備を重視している人にとっては欠かせない情報。また、入居前にリフォームをしたいと考えている人には、建築設計図書があるといいですね。大きな災害に耐えられるマンションを探している人には耐震診断報告書や建築確認済書があれば安心です。その他にも、マンションの入居にあたってのルールを記載した規約書や、維持管理に関する書類など、マンションのハード面だけでなくソフト面に関するものも、売却したいマンションが「どんなものか」というのを客観的に示す資料となります。

 

マンションの購入を検討しており、実際に物件探しをしている人にとっては、1つの物件についての情報は多ければ多いほどありがたいものです。売却をスムーズにするためにも、上記に挙げた書類は可能な限り揃えておかれるとよいでしょう。終の棲家にするつもりで購入したマンションでも、ライフステージの変化や止むに止まれぬ事情によって手放すことになるかも知れません。備えあれば憂いなしというのは、マンションの売却についても言えること。いざというときのために、マンションに関する書類はひとまとめにして保管しておくのが得策です。

 

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