マンションの売却(買取)を依頼した場合の流れを理解しよう

マンションを売却する方法に「買取」という方法があります。買取とは簡単に言うと、一般の方ではなく不動産会社が再度販売する事を目的としてマンションを「買い取る事」を言います。

 

不動産会社が買取るので決済も早く、チラシなどを周辺マンションに投函して売却活動をする必要もありません。それ故に、マンションを早く現金化したい方や、周囲にマンションを売却している事を知られたくない方にとっては非常に良い売却方法です。今回は通常の売却方法(以下、通常売却)と比較をしながらマンションの買取についてご説明します。

 

目次
1.査定依頼
1-1通常売却時の査定依頼について
1-2買取時の査定について
2.査定方法について
2-1周辺事例比較法
2-2不動産会社によって強みの違い
2-3机上査定について
2-4実査定について
3.売買契約について
3-1諸費用について
3-2瑕疵担保責任について
4決済・引き渡しについて
4-1通常の売却の場合
4-2買取の場合
5.確定申告について
5-1確定申告とは?
5-2利益が出た場合
5-3確定申告の方法
6.まとめ

1.査定依頼

1-1通常売却時の査定依頼について

マンションを通常売却する時に査定依頼をする場合には、いくつか方法があります。近くの不動産会社に直接行き査定を依頼する方法や、インターネット経由で査定を依頼する方法が一般的です。いずれの場合も「複数社に査定依頼をする」ことが大切になってきます。マンションの査定を依頼する場合には「マンション住所」「部屋番号」「広さ」「築年数」などの基本的な情報を伝えるだけです。しかし、会社ごとに強みが違うため(詳細は後述します)査定額については違いが出てきます。決して一番高い査定金額の不動産会社が良いワケではなく、その査定額に根拠があり信頼がおける不動産会社を選ぶことが大切です。それ故に、複数の会社に査定依頼をして、信頼のおける不動産会社を見極める事が大事になってきます。

1-2買取時の査定について

前項の「1-1通常売却時の査定依頼について」と同様に、買取の時も複数の会社に依頼をすることが大切です。買取時も前項と同様に不動産会社やインターネット経由で査定依頼をしますが、通常の売却と違って、買取を行っていない不動産会社もありますので、最初から買取前提で探した方が良いです。買取を行っていない不動産会社に買取を依頼すると、その不動産会社から買取を出来る会社を紹介してもらうため、非常に手間がかかり、仲介料が発生することもあります

 

今はインターネット経由で「買取」を目的とした複数社を同時に査定が出来るサイトもあるのでご活用ください。毎回会社ごとに査定依頼をするのは、同じ情報を会社毎に伝えなくてはいけないので、手間がかかります。

2.査定方法について

査定依頼をしたら不動産会社ごとに「マンションをいくら売却出来るか」を数字で算出する査定額を出します。

2-1周辺事例比較法

マンションを査定する時には周辺事例比較法を利用することがほとんどです。周辺事例比較法とは読んで字のごとく「周辺の成約事例を元に査定額を算出する」方法の事です。売却しようとしているマンションと同じような広さ、駅徒歩距離、築年数の類似マンションが直近いくらで成約をしたが査定額を大きく左右します。
通常の売却時も買取時にもこの方法は使われ、通常の売却時を算出した後、その価格を参考に買取価格を算出するという流れになります。

2-2不動産会社によって強みの違い

上述した通り不動産会社によって査定額は違います。その理由は不動産会社によって強みが違うからです。同じような周辺事例を比較して査定額を算出しますが、例えば「そのエリアは直近で売却をしたことがあるので、ノウハウが蓄積されている」や「元々抱えている顧客の中でそのエリアでマンションを探している人がいる」のような会社は査定額を高く出しても納得できます。このように、ノウハウや顧客などの強みが不動産会社によって違うため同じ成約事例を比較しても査定額に違いが出るのです。これは通常の売却時も買取の時も変わりません。

2-3机上査定について

まず査定をする時には机上査定をします。机上査定とは、周辺の成約事例や不動産会社のノウハウを統合して実際の部屋を見る前に査定額を算出する方法です。実際に室内を見てから査定額を算出する実査定が正式な査定額なので、正式な査定価格ではなく暫定の価格になるため、あくまで参考価格という事になります。

 

買取の場合には、実査定なしの金額提示も可能ですが、室内の確認が出来ないため、全てリノベーションをする前提で査定額を算出する不動産会社も少なくありません。従って、実査定なしの机上査定のみで金額提示をすると通常の買取価格よりも下がってしまう事が多いです。例えば、既に賃借人がいる投資用物件の買取の時などは、賃借人がいて安定的な収益を上げられるという前提なので、室内確認を行わないまま買取になる事もあります。

2-4実査定について

机上査定が終われば実際の実内を見て査定額を修正する実査定に移ります。実査定で主に見るポイントは「大きな傷」「機能的な欠陥(コンロが点かない等)」「ひどい汚れ」の3点になります。よほどの事がなければ、実査定額は机上査定の価格からはほぼ変わらない価格になります。

 

注意点としては、実査定で算出した査定額は確かに「正式査定額」ですが、通常売却の時には「絶対に成約する価格」ではないという点です。あくまで「恐らくこの価格であれば売れるだろう」という価格なので、周辺の状況によっては実査定額より安い価格で成約となってしまいます。買取については、実査定の価格がそのまま不動産業者が買い取る価格になりますので、実査定額と成約額のブレは生じません

 

【補足情報】

査定方法について詳しく知る

3.売買契約について

実査定額を算出し、売却活動を行います。そして、購入希望者が現れた場合には売買契約を締結するという流れになります。この項では売買契約についてご説明します。

3-1諸費用について

諸費用については通常の売却時と買取時には違いがあります

仲介手数料

マンションを売却する時に一番大きな費用としては仲介手数料が挙げられます。マンション価格が400万円を超える場合には「税抜き物件価格×3%+6万円」が仲介手数料になりますので、例えば税抜き3,000万円でマンションを売却した時には仲介手数料は96万円(消費税別)になります。しかし、買取の時にはこの仲介手数料はかかりません。不動産会社がそのまま買取りますので、第三者に仲介するわけではないというのが理由です。

登記関係費用

マンションを含めた全ての不動産は自分の所有であることを証明するためには登記をします。通常売却時も買取時も、抵当権などが付保されている時は解除し、相手に所有権を移転しなければいけません。それ故にローンがまだ残っていて金融機関などから抵当権を付保されている時にはこの抵当権を抹消する手続きが必要になります。

 

登記手続きはご自身ですることも可能は可能ですが、手続きや作成書類が煩雑なので、司法書士に委任する事がほとんどです。登記関係費用の内訳としては「登録免許税」と呼ばれる登記する際にかかる税金(抵当権を抹消する場合にも同じ)と、「司法書士報酬料」と呼ばれる登記を依頼する司法書士に支払う金額に分かれます。

印紙税

「印紙代」と呼ぶことが多いですが印紙も税金です。売買契約書を締結する時に切手のようなものを貼付するのですが、そこに割印をすることで印紙税を支払っている事になります。

 

【関連情報】

マンション売却の際にかかる諸費用を理解することがお得に売却する第一歩

3-2瑕疵担保責任について

マンションを含めて、不動産を売却した時には瑕疵担保責任というものが売主にはあります。簡単に言うと「万が一不動産に隠れた欠陥があったら売主が責任を持ってください」という内容です。

通常売却の場合

売主も買主も不動産会社ではなく個人(一般人)同士の場合には、瑕疵担保の期間は当事者間で定め契約書に盛り込むことが一般的です。期間については千差万別ですが、3か月~半年程度に設定する事が多いです。つまり、売却をしてから3か月~半年以内であれば欠陥を発見した時に売主に通知をすれば売主は欠陥部分を改修するなりの処置を施さなければいけないと言う事です。
但し、築年数が古い物件は2年程度の期間を設ける等、物件の築年数や購入者によって瑕疵担保責任を設定する期間は違います。

買取の場合

買取の場合には瑕疵担保責任を負う必要はありません。理由は、不動産会社が購入者になるからです。一般の個人が売主で、宅建免許を取得している不動産会社が購入者になる場合には、売主は瑕疵担保責任が一切なくなります。これは「不動産のプロである不動産会社は瑕疵も含めて責任をもって購入しなさい」という理由からです。

 

隠れた瑕疵が発覚して売主がそれを補修すると言ったことは非常に少ないです。しかし、もし瑕疵担保責任を負うことになったら大きな費用がかかることも少なくありません。買取をすることの大きなメリットはこの瑕疵担保責任を免れる事が出来ると言う点です。

4決済・引き渡しについて

売買契約書を締結したらいよいよ決済・引渡に移ります。

4-1通常の売却の場合

通常の売却の場合には契約書を締結してから1ヵ月~長くても2か月程度で決済・引渡になります。手続きとしては、売却者側は「(ローンが残っている場合には)抵当権の抹消手続き、ローンの返済手続き」「登記関係手続き」「引越し等マンションを明け渡す手続き」があります。購入者側は「(ローンを組んで購入する場合には)ローンの本申込手続き」「登記関係手続き」「引越し等の手続き」があり、どうしても時間がかかってしまいます。特に購入者側のローン審査手続きと、両者共に引越し関係手続き等があるため、その調整に時間がかかってしまうのです。

4-2買取の場合

買取の場合には売買契約書を締結してから決済・引渡までは早くて数日で行う事ができます。ローンの残債もなく、次の引越し先も既に決まっている状態で引越し業者も手配しているのであれば、不動産会社がマンション代金を振り込むだけなので短期間で決済・引渡が出来るのです。

 

仮にローンの残債がある場合でも銀行などに手続きを早めに済ます事が出来、引越しの予定を固められれば1~2週間で決済・引渡も可能です。購入者が不動産会社のため、購入者の都合に合わせる必要がないと言う事が理由になります。

5.確定申告について

マンションを売却した場合には、通常の売却でも買取でも確定申告が必要な場合があります。

5-1確定申告とは?

そもそも確定申告とは何でしょうか。簡単に言うと、自分で税金を申告して納める事です。サラリーマンですと源泉徴収という形式で自動的に会社側が月々納めるべき税金を給料から差し引いてくれますが、マンションなどの不動産を売却した時には自ら税金を申告して納めなければいけません。

 

通常は2月16日から3月15日までの間に前年分の税金を確定申告します。例えば2015年の1月1日から12月31日までの収入分は、2016年2月16日から3月15日までに確定申告をする必要があります。つまり2015年に不動産を売却したことによって利益が出た方は2016年の2月16日から3月15日までの確定申告を行い納税しなくてはいけないと言う事です。

5-2利益が出た場合

・譲渡所得(利益)の計算

まず利益が出たかどうかは譲渡所得の算出をしなくてはいけません。計算式は「(売却価格-売却時にかかった諸費用)―(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用))」となります。例えば、以下のようなマンションを売却した時の譲渡所得は計算してみましょう。

→売却価格6,000万円
→売却時の諸費用(仲介手数料や抵当権抹消費用など)200万円
→購入時価格5,000万円
→減価償却費用630万円
→購入時の諸費用150万円

「(6,000万円-200万円)-(5,000万円+150万円-630万円)」となり、譲渡所得は1,280万円です。つまり1,280万円に税金がかかってくると言う事です。

・3,000万円特別控除の特例

投資用不動産などではなく、マイホームを売る場合は、所有期間に関係なく最高3,000万円の特別控除が認められています。つまり、前項で算出した譲渡所得が3,000万円以下であれば税金はかからないと言う事です。
主な要件としては
→マイホームに住まなくなってから3年目の12月31日までに売ること
→売る相手との関係が、親子・夫婦・生計を共にしている親族ではないこと
→住宅ローン控除を受けていないこと
などが挙げられます。

※詳細は国税庁ホームぺージをご覧ください。

5-3確定申告の方法

今はインターネットで確定申告書類を作成し、別途機器を購入することによってインターネット上で確定申告をすることも可能です。確定申告時期になると国税庁ホームページより「確定申告の作成」が出来ますので、その流れに従って入力をすることによって簡単に確定申告書類を作成できます。前項の「3,000万円特別控除の特例」に該当しているかどうかも判別することが可能です。

6.まとめ

このように不動産を通常売却する時と、買取の手法を使う時では大筋の流れは同じです。但し、引渡・決済時期であったり、査定方法などが若干違うため、それぞれのメリットデメリットを見極めて、通常の売却にするか買取にするかはご判断下さい。

 

【マンション売却(買取)の手続き関連情報】

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