不動産を売る時は仲介が主役?なぜ買取は一般的なイメージがない?

不動産の売却方法に不動産仲介会社に仲介を依頼する「仲介型」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取型」があります。他にも自分で買主を見つける方法もありますがあまり一般的ではありません。
また、「仲介型」と「買取型」が多いと言っても、実際には不動産の売買の多くは「仲介型」でなされます。
車を売りたいならガリバー、バイク売るならバイク王、などいわゆる業者に「買ってもらう」という売却スタイルが世間に広がっています。ブランド品を質屋に持ち込んだり、本や家電をリサイクルショップに持ち込んだりすることも比較的一般化していますが、なぜ不動産の売却は「買取型」に一般的なイメージがなく、「仲介型」が中心となっているのでしょうか?

「買取型」と「仲介型」のそれぞれのメリット

ここで改めて、「買取型」と「仲介型」のそれぞれのメリットについて考えてみたいと思います。

買取型のメリット

買取型のメリットには以下のようなものがあります。

買取型は即金でお金が手に入る

買取型のメリットの内一番大きいのは即金でお金が手に入るということでしょう。仲介型と比べて売却にかかる広告活動や見学会をする必要もなく、それゆえに近所の人に売却が知られる心配がないということも挙げられます。仕事が忙しく売却に時間を掛けられないといった場合や買い換えで売却にかける時間がないといった場合に役立つでしょう。

瑕疵担保責任が不要

不動産の売却は、売却後にも瑕疵担保責任と言って瑕疵(見えない欠陥)に対する責任を負う必要があります。不動産を引き渡した後に住宅設備機器の故障が発見されたり、構造に欠陥が見られたりした場合は契約解除や損害賠償をしなければならない可能性もあるのです。

 

しかし、買取型の場合購入者は不動産会社となります。宅建業法で、買主が宅地建物取引業者の場合、相手はプロなので売主は瑕疵担保責任を負う必要がないという取り決めがなされています。

仲介手数料が不要

仲介型で不動産を売却する場合、売主と買主以外に不動産仲介会社が存在することになります。売主と買主はそれぞれお金のやり取りをしますが、不動産仲介会社はただでお手伝いをしれくれるわけもありません。売主と買主はそれぞれ仲介会社に仲介手数料(3%+6万円+消費税)を支払う必要があるのです。

 

しかし、買取型の場合、売主であるあなたと買主である不動産会社の2者しか存在しませんから、余計な手数料を支払う必要もありません。

仲介型のメリット

仲介型のメリットについてもお伝えします。

仲介型は買取型より売却価格が高くなりやすい

仲介型を選ぶ一番のメリットは買取型より売却価格が高くなる可能性が高いということです。買取型の場合、不動産を買い取った不動産会社は不動産をリフォームしたり建て替えたりして再販することを目的として買い取ります。そのため、相場の7割~8割といった安い価格での買取となることが多いです。

 

一方仲介型の場合売却された不動産はそのまま利用することを目的として購入されることがほとんどであり、相場付近の価格で売却することができます。仲介型は広告や販売活動の手間がかかったり、不動産の売却が3カ月~6カ月となったり、場合によっては最後まで売れないといったリスクもありますが、それら全てのデメリットと比較しても高く売却できるということで仲介型が選ばれることが多くなっています。

ケース毎の「買取型」と「仲介型」の比較

仲介型の最大のメリットは買取型よりも高い価格で売れる可能性がある、ということだと分かりました。不動産の売却を考えているのであれば少しでも高い方が良いというのは全ての売主が持っている気持ちでしょう。それでは、「買取型」が「仲介型」と比べて選ばれる場合とはどのような場合でしょうか?

人気のある不動産の場合

人気のある地域、売却すればすぐに売れる可能性のある不動産の場合、「買取型」と「仲介型」どちらを選ぶのが良いでしょうか?

 

人気のある不動産の場合、正しい価格設定をすれば不動産の売却を開始してすぐに購入希望者が現れる可能性が高いでしょう。仲介型のデメリットの一つに販売の手間がかかることが挙げられますが、人気のある不動産の場合、このデメリットは無視することができます。

 

一方、再販してすぐに売却できる可能性が高いと予想できる場合、買取型の場合でも不動産会社は相場に近い価格をつけてくる可能性があります。この場合、買取型の唯一の欠点と言える売却価格が相場よりも安くなる可能性がある、という点を無視することができます。

 

ただ、実際には人気のある不動産でも相場の8割~9割といった価格での買取となることが多く、仲介手数料の支払いや瑕疵担保責任が不要となるメリットと価格を天秤にかけてどちらを選ぶのかを決めると良いでしょう。
なお、買取業者によって必要としている不動産が異なるため、買取の場合できるだけ多くの不動産会社に相談すると良いです。ネットの一括査定を活用すると良いでしょう。

買い換えを検討している場合

不動産の買い換えを検討している場合、元の不動産の売却と新しい不動産の購入のタイミングを同じにする必要がある場合があります。その場合に、買換型の即金でお金が手に入るというメリットが活きてきます。

 

ただ、元の不動産を住宅ローンを組んで購入していた場合、抵当権の抹消のため住宅ローンを完済しなければ売却することができません。買取型であれば相場よりも安い価格での売却となる可能性が高く、残債を手持ちの現金で支払う必要があります。
また、不動産を買い換えする場合、売却の期限が明確なので、最初は仲介型で不動産の販売活動を行い、期限までに売却することができなければ不動産会社に買い取ってもらうという方法もあります。

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買い替えの際のマンション売却について

土地の整備が必要な場合

例えば300坪を超える土地の売却の場合など、一般的な住宅用土地として利用しづらい大きさの土地であれば買取型の方が良いでしょう。土地は、地域によってだいたいの相場、坪単価が存在しています。坪単価の安い地域であれば50坪よりも60坪の方が人気があり、逆に坪単価の高い地域であれば50坪よりも40坪の方が人気がある、といった大きさの相場感もあります。

 

こうした大きさの相場感よりもはるかに大きい土地を持っている場合、プロの不動産会社に売却して、造成や区画割りをしてもらった方がお得な場合が多いです。区画割りは土地の合筆、分筆や排水管の整備、駐車場の準備などお金も掛かります。素人が取り組むには荷が重いですし、うまくいかなかった場合の損失も大きいです。

不動産の買取はなぜ一般的なイメージがないのか?

ここで、最初の不動産の買取ははぜ一般的なイメージがないのか?という疑問に戻ってみたいと思います。不動産の売却において、「買取型」よりも「仲介型」が多く選ばれる理由はやはり、「少しでも高い価格で売却したい」と多くの売主が思うから、だと言えます。

 

ただし、不動産の仲介による売却は不動産の査定~不動産の売却活動~買主が現れた後の価格交渉と、長い期間をかけて行われ、その間に数回の値引きが行われることも多いです。売却にかける労力や仲介手数料、瑕疵担保責任なども合わせて「仲介型」が良いのか「買取型」が良いのかを選ぶのが賢い選択だと言えるでしょう。

まとめ

不動産の買取に一般的なイメージがない理由としては、買取型よりも仲介型の方が高い価格で売却できる可能性が高く、多くも売主が少しでも高く売りたいと思うから、という理由で説明することができます。また、不動産売却活動中の値引きや仲介手数料、瑕疵担保責任について多くの売主が詳しくイメージすることができないという点も理由として挙げられるでしょう。「買取型」か「仲介型」かの選択をする場合はそれら全てを含めて検討するようにしましょう。

 

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