【売却体験談】スムーズにいかなかった相続したマンションの売却

相続したマンションを売却することにした

父が亡くなったのは、1年ほど前。母は既に亡くなっていたので、父の財産は私と、私の妹で全て相続しました。父は、ちょっとした会社の役員をしていたので、残された財産は少なくありませんでした。現預金はあまりなかったのですが、有価証券がありました。時価で計算すると結構な金額です。現預金や有価証券は、妹と分けることにしたのですが、どうすべきか困ったのが、父の住んでいたマンション、都内の一等地にある4LDKの豪華なマンションです。立派なマンションなのですが、私も妹もそのマンションに住む気はありません。賃貸にして保有し続けるか、売却してしまうか選択しなければならなかったのですが、有価証券を売却して相続税を払うよりは、マンションを売却して相続税を払うほうがいいだろうと、マンションは売却することにしました。

 

参考:マンションを相続することになった場合は売却を検討?しっかりと対策が必要

 

しかし、父と母が晩年を過ごしたマンションには、実にいろいろなものが有り、休みごとに妹と2人で整理しなければなりませんでした。父が書斎に使っていた部屋からは様々な書類が出てきて、処分していいものかどうかひとつずつ確認しながら整理して処分しました。高価なテーブルやソファーもすべて業者に引き取ってもらいました。元々広いマンションですが、何も無くなったマンションは、ことさら広く感じました。このマンションで亡くなった訳ではありませんが、住んでいた人が亡くなったということで、印象が悪くなってはいけないと、リフォームを考えました。しかし、水回りは高価な設備を入れてあり、リフォームするのはあきらめ、全ての部屋の壁紙を貼り替え、水回りはハウスクリーニングを入れるにとどめました。

ハウスクリーニング完了後に売却活動を開始

リフォームこそしなかったものの、壁紙も張り替え、ハウスクリーニングの入った4LDKのマンションは新築と見まがうほど綺麗になり、立地もよいので、売却も簡単だろうと素人ながらに考えました。早速、不動産業者5社に査定を申し込みました。査定額は各社バラバラで、不動産売却の査定の経験の無い私は、こんなものなのかと思いましたが、1社だけ飛び抜けて高い査定額を提示してきたのが気になりました。

 

参考:マンション買取の査定は複数の業者に依頼をする方が良い

飛びぬけて高い査定金額を出す不動産会社が登場

マンションを売ろうという人は皆同じだと思いますが、同じ売るなら高い方がいいに決まっています。私は飛び抜けて高い査定額を出した不動産会社の話を聞いてみることにしました。不動産会社によると、一等地でとにかく場所がよい、しかもこの辺りでは、売りマンションがなかなか出ない、マンションが売りに出てもすぐに買い手が決まってしまうような場所、マンションが売りに出るのを待っている人がいる、しかも4LDKの立派なマンションで欲しい人はいくらでもいる、それを、他社のような安い価格で売りに出すのはもったいない、高くても売れるという話でした。なるほど、言われてみるとその通りで、父のマンションが建っている辺りは、新築のマンションが建つような土地は残って居らず、マンションを買いたいという人は中古マンションを買うしか無いという場所です。そんな中でも、父のマンションが建っている場所は特に人気のある地域だという話です。そう言う理由ならば、高い査定価格にも納得できると思いました。さらに業者の話では、査定はあくまで査定、実際に売り出すなら値引きの交渉も考えて、1割ほど高い価格で売り出すべきとのことでした。

 

参考:マンションを売却したいと思ったら、まずは査定。その方法とポイントを押さえる

専属専任媒介契約を結んで売出し開始

不動産会社の説明に満足した私は、その業者と専属専任媒介契約を結びました。マンション売却は初めてのことで、専属専任媒介契約と言われてもよく分かりませんでした。業者の説明を聞いて、売る場合はかならずこの業者を通しての売買になるということだと理解しました。売り出し価格は、査定額より1割高い金額にしました。マンションはなにも荷物が無く、空っぽの状態なので、鍵も業者に預け、全て任せました。人気のある地域で、4LDKの立派なマンション、壁紙を替え、ハウスクリーニングも入れて新築と見まがうような部屋、すぐに売れるだろうと私は思っていました。

 

参考:専属専任媒介の落とし穴!買取業者にマンションを買い取ってもらえない?

1回目の値下げ

マンションを売りに出して、しばらく経ちました。しかし、購入の申し込みがあるという話は、不動産業者からありません。不動産業者の話ではすぐに売れるという話だったのに、売れないのです。価格が高すぎたのでしょうか、マンションに何か問題があったのでしょうか、不安になりましたが、不動産業者を信用して、しばらく様子を見ることにしました。そして、2ヶ月が過ぎた頃、不動産業者から連絡がありました。売り出し価格を下げた方がいいという内容でした。査定額に1割乗せたのはさすがに高すぎたのかと思い、不動産業者の言うように価格を下げました。新しい価格は、その不動産業者の当初の査定額です。

2回目の値下げ

価格を下げて、1ヶ月、マンションはまだ売れません。不動産業者から連絡があり、専属専任媒介契約の更新をしてくれということと、価格の再度の値下げをしないかということでした。専属専任媒介契約は更新しましたが、価格の値下げは納得がいきませんでした。当初の査定額よりも低い価格になるわけで、最初に5社に査定を頼んだとき、他社が出した見積もりの価格と変わらない金額です。しかし、実際に売れていないのだから、値下げせざるをえないのだろうと思いました。不動産会社の言っていた、人気のある地域だとか、売りに出せばすぐ売れるというのは嘘だったのかと不動産会社に不信感を持ちましたが、今さら他の不動産業者に変えようという気にはなりませんでした。

ついにマンションが売れる

2回目の値下げをしたあと、すぐに購入の申し込みがありました。相手の希望する金額は、売り出し価格そのままの額で、購入の申し込みを受けました。父のマンションは、結局、他社の出した査定額で売却することになりました。

マンション売却を終え学んだこと

売却が決まってからも、どうも納得がいかないのが、不動産業者が最初に提示した査定額です。どうしてあんなに高い金額の査定になったのか、もしかしたら不動産業者もその値段では売れないと分かっていての査定額だったのだろうか、しかし売れもしない高額な査定をして不動産会社になにか利益が有ったのだろうかと考えるようになりました。そんな折に、不動産の仲介には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介という3つの契約があると知りました。

 

今回、不動産会社と結んだ契約は専属専任媒介契約でした。この契約は、どんな相手であろうと、契約を交わした不動産業者が仲介しないと売買できないというものでした。つまり、父のマンションを売るにはこの会社の仲介でなければ売ることは出来ず、買い手側の不動産会社が何処であれ、このマンションを買いたいという人が現れて、売買となると、この不動産業者が買い手側の不動産業者として仲介手数料を取れるということでした。父のマンションは高額でしたから、この仲介手数料目当てだったのではないかと思えてきました。

 

専属専任媒介契約を結びたいがために、他社よりも高い査定額を提示して、契約を結ぼうとしたのでは?そうだとすると、飛び抜けて高かった査定額も、すぐに売れると言っておきながら2回も値下げをするように言ってきたのも納得できます。どうやら今回のマンション売却は、専属専任媒介契約を結びたいがための高い査定につられた私の失敗だったようです。高い査定を信用して、専属専任媒介契約を結んでしまい、2度も値下げし、結果的には他社が出した査定額で売却するという遠回りをしてしまいました。はじめから、高い査定に釣られなかったら、もっとスムーズに父のマンションを売却できたのかと思うと悔やまれます。

 

 

注:こちらの売却体験談はスマート買取の体験談ではなく、マンション売買のご経験者にお伺いした内容です。

 

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